友人のAに誘われて、有名な心霊スポットに行くことになった。
そのトンネルでは、白い女が出ると噂されていた。
夜の10時を過ぎた頃、Aと2人で車に乗り、そのまま山道へ向かった。
トンネルは街の外れ、舗装もされていない旧道の先にある。
街灯もなく、周囲は木々に囲まれていた。
トンネルの手前に車を停め、徒歩でトンネルに近づいていく。
目の前に、古びたコンクリートのトンネルが現れる。
水が染み出し、壁には苔がこびりついている。
俺「ほんとにここ、やばいらしいぞ。中学の先輩が夜中に見たって」
A「いや、大丈夫だって!なんもでねーよw」
Aはやけに楽しそうに話していた。
俺は正直、怖かったが、Aが妙に乗り気だったので渋々ついてきた格好だ。
中からは、冷たい空気がゆるゆると漏れていた。
「行ってみようぜ」とAが言う。
俺は仕方なく頷き、2人でトンネルに入った。
壁に付いた照明の光が道路の水たまり反射している。
足音がコツコツと反響する中、10メートル、20メートルと進んでいく。
やがて、トンネルのほぼ中央まで来たとき、立ち止まった。
さすがに怖い、トンネルの中のひんやりと湿った空気が、余計に恐怖を誘う。
「なあ……やっぱ戻らね?」正直、ここに来たことを後悔していた。
Aは数歩先を歩いていたが、ぴたりと足を止めた。
「……なあ、聞いてる?」
返事がない。
Aは、前を向いたまま動かない。
「おい、やっぱちょっとさ……」一瞬振り向いて、向き直った時
その瞬間、Aがいたはずの場所には────
────女がいた。あの噂の白い女だった。
女の顔は、目と口があるはずの部分が真っ黒い穴の様になっていた。
女「#%▽×いいよね? #%▽×いいよね?」
何を言っているのかはっきりわからない。
腰が抜けて、その場に尻もちをつく。
必死に地面を這うようにして後退し、なんとか立ち上がり、出口に向かって走り出す。
背後から、声が追ってくる。
「#%▽×いいよね? #%▽×いいよね?」
鼓膜の裏側に直接語りかけてくるような声。
もうすぐ出口だ、あと数歩──!
その瞬間、一層大きな声で
「おまえのからだ、もらってもいいよねぇ!?」
トンネル全体に響き渡った。
その後の記憶が、ない。
──気がつくと、最寄りのコンビニの駐車場にいた。
スマホを取り出そうとする手が震えている。
スマホに表示されている時刻は、深夜1時過ぎ。
1人でコンビニでコーヒーを買い、気分を落ち着かせた。
結局Aが女になって……Aはどこに行った?
スマホで連絡しようとしてみるが、Aの連絡先が見当たらない。
あれ?なんで無いんだ……いや、A?
Aってだれだろう、そんな友達、ワタシにはいなかった?
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